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武原 夏子
玉川大学農学部卒。元・日本不耕起栽培普及会理事・事務局長。不耕起移植栽培や田舎暮らしの技術や楽しみを教え、農産物の差別商品化や売上増加コンサルをしています。手作り、田舎の食や暮らしが大好き。伝統食大好き。農家のじいちゃんばあちゃん大好き。都会暮らしでは、命と精神が縮んでしまう。ずっと満員電車に乗らず、朝に出勤しない生活を望んできたら、そうなった。2017年まで田舎暮らしや農業、手作りを実践。ナチュラリストでも何でもないのに、化学物質過敏症、合成添加物過敏症、合成洗剤アレルギー、シックハウス症候群。さらには、憑依体質。自然や宇宙とのつながりについて、いつも考えています。

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種もみを冷やす


 

関東から関西地域の不耕起移植栽培農家は、

2月に入ると浸種という作業をします。

 

浸種というのは、今年の稲の苗を作るための

種もみを冷たい水の中に浸して置く作業です。

 

農家の人は「種もみを冷やす」という

言い方をすることもあります。

 

不耕起移植栽培でも、浸種は

2月と限っているわけではありません。

 

地域の気候条件や田んぼの条件、

栽培する品種によって、

浸種だけでなく作業の時期は異なります。

 

慣行栽培では、苗づくりにかける期間が短いので

浸種は種まき前に、ほんの短い日数しか

しない場合も多いのです。

 

慣行栽培というのは、普通の農家の人が

農薬や化学肥料を使って稲を作る方法のことです。

 

同じ地域でも、慣行栽培の種まきや苗づくりは、

不耕起移植栽培より1ヵ月以上遅いことが多いです。

 

 

種もみは、休眠状態にあり、

ほとんど呼吸もしていません。

 

水に漬けることで、

種もみは休眠から覚めていきます。

 

種もみは、呼吸をし水を吸い、

水にはもみの成分が溶け出します。

 

 

発芽するまでの胚と胚乳の変化は、

水温と吸水率と積算温度が

影響するといわれています。

 


農家に被害が出ている


 

種もみの調整、選別、消毒などの作業後、

この浸種の作業を行うのですが、

近年困った口コミを広げている人がいるようです。

 

それが、「種もみを冷やすときに

水槽用のエアポンプを入れておけばいい」

というもの。

 

数年前から、被害をこうむる農家が出ています。

 

私のところに、苗を譲ってもらえませんか?

という問い合わせが来てわかったものです。

 

70枚の苗を浸種の時に失敗し、

苗を作り直すにも種もみも手に入らず、

田植えを前にして苗が無いと言うのです。

 

何年も稲を栽培している兼業農家でしたが、

それ以前は農協から苗を購入していたらしく、

今年は奥さんと苗を育てることにしたそうです。

 

失敗した原因が

水槽用のエアポンプだったのです。

 

金魚の飼育と種もみの浸種は同じですか?

 

そもそも、水槽用のエアポンプは

農業用の道具ではありません。

 

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エアポンプにも様々なサイズがありますが、

写真のものですと、20リットル程の水槽で

使うのが限度です。

 

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1リットルのペットボトルと20リットルの水槽

水の量がおおよそわかりますよね。

 

水槽に入れられる金魚や熱帯魚の数なら数匹。

 

g換算したら10gあるかないかの

水槽の水の中で飼う、小さな生きもの用です。

 

 

いったいどれぐらいのサイズのエアポンプを

何リッターの水に入れたのでしょうか?

 

金魚や熱帯魚と一緒にはなりませんが、

慣行栽培では、水は種もみの2倍量

ということが多いです。

 

苗箱70枚ですと、種もみの量は、

不耕起栽培では約5㎏、

慣行栽培では約12㎏です。

 

苗箱70枚分の種の量からすると、

不耕起移植栽培も慣行栽培でも浸種の時に

250リッター以上の水を使うのが理想なんです。

 

 

しかも、浸種の時に

「エアポンプを入れておけばいい」

わけではありません。

 

浸種の基本である、

水の管理、温度管理、置き場所の管理を

きちんとしなければなりません。

 

種もみに水カビが生え、

病気が出たり腐ったりして、

種もみがダメになれば苗は作れません。

 

水槽用のエアポンプを入れても構わないのですが、

それで、基本的な管理を無しにできるわけではありません。

 

 

農家はお米を育てて、販売して収入を得ています。

無責任な口コミは、経営に悪影響を与えます。

 

 

不耕起移植栽培技術が積み上げられてきた中で

経営に差し障るような間違いは、もっとも問題でした。

 

私たちが不耕起移植栽培技術を教えてきた中で、

経営に差しさわりが出ないように、

どれだけ気を使って来たことでしょうか?

 


ネット上の情報は理論も発信元もわからない


 

2005年に不耕起移植栽培用の

苗の作り方を教える

苗つくり塾を始めました。

 

毎年、20~40人の受講生が

学びに来ていました。
多くは農家ではなく、

仲間や家族と田んぼをやりたい、

将来農業をやってみたいという人でした。

 

当然のことながら、

苗づくりのための施設も道具も

持っていない人たちです。

 

農家ではない、

1~5アール程度の田んぼのために、

苗を作る方法として、

私は様々なアイディアを考案しました。

 

水槽用のエアポンプを利用し、

漬物樽で浸種をする方法も

私が考案して教えました。

 

あくまで素人向けです。

 

農家には、大型の桶や、

水に空気を送り込むエアレーションができ、

種子消毒から浸種までできる

専用の機械の導入を奨励していました。

 

Photo by Natsuko Takehara

写真は500リットルの水が入る機械です。

 

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メーカー推奨の温度設定が記載されています。

不耕起移植栽培の温度管理とは異なります。

 

酸素を供給するための強い

エアレーションも出来る機械です。

 

これなら約200kgの種もみを

浸種することができます。

 

 

種もみの浸種の時に

水槽用のエアポンプを使うこと自体は

構わないと思います。

 

何のために使うのかを知らないから、

失敗を招くのです。

 

水槽用のエアポンプを使う理由は

酸素の供給の為ではなく、

水を動かすためなのです。

 

ネットの発達は便利ですが、

大元の発信者の了解も、出典の記載も無く

流れている情報がたくさんあります。

 

他人のブログ記事が勝手にリライトされるので、

もともとの情報がどこの誰からのものか、

どんな理由や理論や作られた経過があるのか、

わからない記事になっています。

 

実際、私が調べごとをしていても、

データの発信元がどこの誰の論文なのか

わからないものがたくさんあります。

 

今は、著作権を主張する出版社や雑誌社でさえ、

出典を記載しないで記事にすることも多いのです。

 

そのような背景があり、私が

「100円ショップのツールを使った田んぼの生きもの観察法」

2005年に『食農教育』に発表した後、

今も、やり方が色々なところで取り上げられています。

 

何のために? どうしてこれを使うか?

 

私たちが農業塾や小学校で教えていた、

「どうして」という理由は消えてしまっています。

 

しかし食農教育の広まりと

生きもの調査の定着からいえば、

結果オーライだと考えています。

 

学校教育で、発泡スチロール箱で稲を育てる

ミニ田んぼを普及したのが2000~2002年。

 

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軟式テニスボールとすり鉢で行う

籾摺りの方法をプリントにして、

ミニ田んぼを作った学校に配っていました。

 

ネット上で、この籾摺りのやり方の記事を見つけて、

私的には、ちょっと感動しました。

 

このようなことなら、

広まるのは大いに結構なのです。

 

 

一方で、農家が経営に支障をきたすような

無責任な口コミをする人がいるのは、

困ったことだと思っています。

 

お金を払った人たちが農業塾で得た知識を

理由も理論も知らずに、失敗例も教えずに

口コミする人に、教える資格はないでしょう。

 

 

農家も、水槽用のエアポンプは何の道具なのか

何リットルの水槽用なのか、口コミを聞いても、

いったん、自分の頭で考えて欲しいと思います。

 

不耕起移植栽培も、慣行栽培にも

苗つくり、稲つくりの技術や一連の作業には、

必ず、「なぜそれをやるのか」という

開発や普及する人の理論や理由があります。

 

Photo

 

そして、種もみも苗も、

生きものだということを

忘れないでほしいものです。

 

良かったらこちらの記事もお読みください。

⇒ 延べ1000人以上の農家が生み出した耕さない農業技術のメリット

⇒ 生きものが田んぼの水を浄化する 冬期湛水水田と緩速ろ過の浄水場

⇒ 不耕起栽培 - 田んぼや畑を耕さない農法 -

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この記事を書いた人

武原 夏子
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玉川大学農学部卒。元・日本不耕起栽培普及会理事・事務局長。不耕起移植栽培や田舎暮らしの技術や楽しみを教え、農産物の差別商品化や売上増加コンサルをしています。手作り、田舎の食や暮らしが大好き。伝統食大好き。農家のじいちゃんばあちゃん大好き。都会暮らしでは、命と精神が縮んでしまう。ずっと満員電車に乗らず、朝に出勤しない生活を望んできたら、そうなった。2017年まで田舎暮らしや農業、手作りを実践。ナチュラリストでも何でもないのに、化学物質過敏症、合成添加物過敏症、合成洗剤アレルギー、シックハウス症候群。さらには、憑依体質。自然や宇宙とのつながりについて、いつも考えています。