The following two tabs change content below.
中村 光信
マウンテン&ウォーターマンでありグラフィックデザイナー。 オヤジと呼ばれる歳になっても今なお自然を舞台に実践し続けているエクストリームな遊びと、 デザイナーとしての腕一本だけを武器に、好きなことで稼いで自分らしく生きていく、自称「エクストリームオヤジ」として世の迷えるオヤジ達をそそのかすような発信とゴキゲンなライフスタイルを実現する可能性をExploring!

 

今日から高所順化のためのトレーニングに入る。

まずは、このトレイルの最終地点であるアンナプルナBC(4,130m)までの高差400m強をゆっくり時間をかけて登り、その日はアンナプルナBCで1泊。翌日はそこからさらに奥へ進み、ヒウンチュリ(6,434m)の東面を5,000m付近まで登り、その日のうちにマチャプチャレBCまで下るという予定だ。

アンナプルナBCまでは、どれだけゆっくり登ったところで、昼には到着してしまう距離なので、朝はゆっくりと出発した。

 

今日は天気が崩れてくるようだ。今にも雪が降ってきそうな空が寒さに拍車をかけるなか、ゆっくりと歩き出す。

ルートは、氷河のモレーンのさらに左側に(ヒウンチュリ側)に続いている。僕たちが今回の遠征で目標にしているシングチュリは、その手前のタルプチュリの末端に遮られてまだ見ることが出来ない。

アンナプルナBCまで上がれば見えるはずだが、今日は天候が悪いので無理かもしれないなどと思いながら幅の広いゆったりとしたアブレーションバレーを登って行くと、案の定、雪がちらついて来た。

 


高度4,000m以上で食べるスイーツ


最後に少しだけ急な登りを登りきると予定通り、昼にはアンナプルナBCに到着。

生まれて初めて4,000mの高度を突破したが、日本での富士山トレーニングやキャラバンで長い日数をかけて登って来たこともあり、まったく高度障害の兆候はなく、すこぶる調子がいい。他のメンバー2人も同じく不調はないようだ。

宿を取って、ロッジの食堂で昼飯を食べる。いつもなら昼はヌードルスープを注文するのだが、今回初めてアップルパイなるものを思い切って注文してみた。
相変わらず長時間待たされた後、出て来たのはアップルパイというよりはリンゴの巨大ギョウザという感じの食べ物だった。

細かく切られたリンゴにチョコレートソースを絡めて、それを小麦粉の生地にギョウザ状に包んでオーブンで焼いた感じだ。普通のギョウザの20個分くらいの大きさで、皮は焼けているが、中のリンゴは、あまり火が通っていなく生ぬるい。

久しぶりに食べたフレッシュなリンゴだったので、それでも結構うまいと感じたし、そもそも、高度4,000mより高いところでアップルパイが食べれるとは思ってもみなかった。

 


黄金色に輝くアンナプルナI峰


朝焼けで黄金色に輝くアンナプルナ南壁 イメージ朝焼けで黄金色に輝くアンナプルナ南壁

午後からは、この高度に慣れるために周辺をブラブラすることにしたのだが、雪がちらつくあいにくの天候なので、やはり周囲をぐるりと取り囲む巨大なアンナプルナ山群の峰々は雲に隠れて見ることが出来ない状態だった。

ロッジの裏手の広場にはネットが張ってあり、多分、どこかの山を狙っている遠征隊のメンバーであろうヤツらがバレーボールをして遊んでいる。これも高所順化の一環だろう。

僕たちはアンナプルナBCから、もと来た道を少し下った所に転がっていた、大岩に行ってボルダリングをして遊んだ。
この高度でのボルダリングでも、日本の平地と変わらない動きが出来て、高度に非常にうまく身体が慣れて来ていることを実感することができた。

 

翌朝は天気が回復していた。
外に出てみると、空気がピンと張りつめてとても寒かったが、空が蒼い。

谷間にあるこのアンナプルナBCまでは日の光がまだ届いていなかったが、少し高台に上がると、アンナプルナI峰(8,091m)の巨大な南壁が、朝日を受けて黄金色に光り輝いているのが望めた。

まさしくヒマラヤのジャイアントだ。

あまりに大き過ぎて、距離感がマヒし、ここからなお4000m以上の高みにある頂上がすぐ近くにあるような錯覚を起こしてしまう。思わず、ヒマラヤ屈指の難ルートであるアンナプルナ南壁に登攀出来そうなルートを探してしまう。

今の僕たちのレベルでは遠く及ばないと分かっているのに、クライマーの悲しい習性というべきだろうか。

 


ついに目標のピークと対面


ようやく見えたシングチュリ イメージようやく見えたシングチュリ

そして、ようやく待ちに待ったシングチュリ(6,501m)と対面することができた。
別名フルーテッドピーク。

フルートというのは襞(ひだ)を意味していて、シングチュリの雪壁にヒマラヤ襞という特徴的な立て筋が顕著に見受けられ、ヒマラヤの山らしい山容をしている。

あの山を目指すのだ。

一旦、宿に戻り、装備を揃えてから、予定通りヒウンチュリ東面のガレ場を登る。途中から雪壁に変わり、アイゼンを付けてしっかりと蹴り込みながら高度を稼ぐと、ようやくヒマラヤの高峰の一角を登っている実感が湧いて来た。

いよいよ、僕たちクライマーの領分に入ったのだ。息も切れないし、日本の北アルプスを登っている時と体調は全くと言っていいほど変わらない。

目標の5,000m付近に到着した。

ヒウンチュリ東面からのマチャプチャレ イメージヒウンチュリ東面からのマチャプチャレと仲間

ここまで上がると、ガスがかかって来て雪も少しちらついて来た。

目の前にはヒウンチュリの壁が立ちはだかり、このまま、登って行きたくなる衝動にかられるが、ヒウンチュリの登山許可は取っていないし、そもそも、何の前準備もなく登れるはずもない。

アンナプルナBCまで戻り、そのまま一気にマチャプチャレBCまで下った。コージ・ロッジのスタッフが笑顔で迎えてくれた。

 

めちゃくちゃ腹が減っている。

ダルバートを腹一杯食おう!

 

この記事を書いた人

中村 光信
中村 光信
マウンテン&ウォーターマンでありグラフィックデザイナー。
オヤジと呼ばれる歳になっても今なお自然を舞台に実践し続けているエクストリームな遊びと、 デザイナーとしての腕一本だけを武器に、好きなことで稼いで自分らしく生きていく、自称「エクストリームオヤジ」として世の迷えるオヤジ達をそそのかすような発信とゴキゲンなライフスタイルを実現する可能性をExploring!