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西田 幸夫

西田 幸夫

新幹線が開業した富山出身で、熱海市に住んでいます。 趣味は朗読で、コミュニティーFMに出演することもあります。 夢は、可能な限り飢餓に苦しむ子どもたちを救うことです。
西田 幸夫

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事故や急病など、いざという時に、何と言っても頼りになるのは救急車。

その救急車に、今、黄信号が点滅している。

それは何かと言うと?

次の図を見てもらいたい。

救急車の現場到着時間が、

平成13年から25年までの12年間で2.3分遅くなっているのだ。

この2.3分の遅れの意味するところは大きい。

事故等により心肺停止となった場合、

救命処置を開始する時間が、1分遅れるごとに、

命の助かる割合は7~10%低下する。

つまり、この12年間に、

心肺停止と同時に救急車を呼んだと仮定した場合の救命率は、

約2割低下したということになる。

これは、当局ならずとも放置できない大問題だ。

この救命率を向上させるために、ドクターヘリが配備され、

一刻を争う重篤な患者の搬送に活躍している。

例えば、事故現場の至近距離に着陸し、

状況判断によっては、開胸術を施して、

心臓を鷲掴みにして蘇生させる豪腕の医者がいる。

しかし、このドクターヘリの恩恵にあずかれる人はわずかで、

大多数の市民は救急車に頼らざるをえない。

この救急車到着の遅れの要因として考えられるのは、

モータリゼーションの進展による乗用車の増加とそれに伴う渋滞があげられる。

同時期の乗用車の増加は、

5245万台から5936万台と約690万台に上り、

約13%増加しており、年々増え続けている。

また、救急要請は、年間600万件を突破する勢いで増え続けており、

1分当たり11件以上も出動している。

通報を受けた時点で既に近くの救急車は出動中で、

より遠いところの救急車を出動させざるをえないこともある。

が、しかし問題は、その中身だ。

次の表を見てもらいたい。

救急車で搬送された人のうち、軽症の患者が約半分もあり、

乳幼児や少年では約3/4が軽症である。

これに対して、ポスターを掲示するなどして啓蒙しているが、どれほどの効果があるだろうか。

実際に救急車を呼んだ理由について、

「自分で行くとタクシー代がかかるから」、「眠れなくて誰かに話を聞いて欲しくて」、「自分で行くと待ち時間が長いから」といった驚くべき内容のものもある。

東京消防庁では、8年前から「救急搬送トリアージ」を実施している。

「トリアージ」とは、

戦場や災害時に、治療や搬送の優先順位を決定することを指す。

「救急搬送トリアージ」は、

平常時に個別の傷病者に対して、

緊急度、重症度を評価し、

その結果に応じた搬送体制を提供するもの。

通報を受けて出動した現場で、

救急隊が緊急を要する重症と判断すれば、速やかに救急搬送する。

しかし、明らかに緊急性が認められない場合、

自身での医療機関受診を要請する。

必要であれば、受信可能な医療機関や民間救急コールセンター、

東京消防庁救急相談センターなどを案内する。

この「救急搬送トリアージ」は、

救急医療の現場では、今最も注目されていることの一つだが、

これとても、あくまでも緊急出動した上での対応となり、

時間的経済的ロスは避けられない。

なんとか、緊急性の高い人を

優先的に搬送する仕組みはできないのか?

そこで浮上してきたのが、救急車の有料化だ。

海外では、救急車を呼ぶと3~5万円程度は普通に費用としてかかるところが多い。

Yahooの「救急車の有料化に関する」アンケート調査によると、

「重症患者以外は有料化(患者の状態に応じて払い戻しを医師が判断)」

という意見が6割、

「症状に関係なく有料化」

が2割を占めている。

この患者の状態に応じて払い戻しを医師が判断というのは、

患者の治療で手いっぱいの医師に、

新たなる精神的負担を求めることになり、

あまり賛成できない。

救急車が有料ということになれば、

それに対応した保険商品が開発されるに違いないから、

払い戻しということは考える必要はないだろう。

では、どれくらいの料金が適当だろうか?

タクシー代がかかるからという理由で利用されるのを防ぐためには、

それ以上の料金設定が必要になる。

救急車が1回の出動でかかる経費は、4万5千円程度と言われており、

受益者負担を求めるとすれば、その半分程度の、

2~3万円くらいの請求が適当ではないだろうか。

例えば、

75歳以上の後期高齢者は2万円、

それ以外の者は3万円

という具合だ。

ただし、例外はある。

医師が診察の結果、

速やかに他の病院での治療が必要と判断した時、

患者の意思に関わりなく、

救急車による搬送を要請することがあり、

こうした病院間の搬送の場合は、

無料が望ましい。

また、いたずらで出動した場合は

懲罰的な意味も込めて

実費以上の5万円くらいは請求すべきだ。

この救急車有料化のデメリットとして、

経済的に苦しい人は払えないので、

弱者ほど有料化の影響は大きく、問題だという。

生活保護を受けているような方に対しては、

確かに配慮する必要がある。

市町村の担当部局の方が緊急性を認めた場合には、

救急車料金を保護費から支出する、

というような工夫が必要だ。

事故の現場で救急車を呼ぶ前に、

クレジットカードはお持ちですか?

などと尋ねるようになる時が

案外もうすぐやってくるかもしれない。

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西田 幸夫
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新幹線が開業した富山出身で、熱海市に住んでいます。 趣味は朗読で、コミュニティーFMに出演することもあります。 夢は、可能な限り飢餓に苦しむ子どもたちを救うことです。