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武原 夏子
玉川大学農学部卒。元・日本不耕起栽培普及会理事・事務局長。不耕起移植栽培や田舎暮らしの技術や楽しみを教え、農産物の差別商品化や売上増加コンサルをしています。手作り、田舎の食や暮らしが大好き。伝統食大好き。農家のじいちゃんばあちゃん大好き。都会暮らしでは、命と精神が縮んでしまう。ずっと満員電車に乗らず、朝に出勤しない生活を望んできたら、そうなった。2017年まで田舎暮らしや農業、手作りを実践。ナチュラリストでも何でもないのに、化学物質過敏症、合成添加物過敏症、合成洗剤アレルギー、シックハウス症候群。さらには、憑依体質。自然や宇宙とのつながりについて、いつも考えています。

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農業をやりたい人の考えは?


田舎暮らしを始めて十数年になります。

 

農業技術の指導もしてきました。

 

この20年以上、全国のいろいろな農村に、

指導や取材、視察に行ってきました。

 

 

以前は、農業塾を開いていたこともあり、

農的暮らしや田舎暮らしに

あこがれる人にも、

たくさんお会いしてきました。

 

 

新規就農を目指す人もいました。

 

その中には、すでに農家として、

自立している人もいます。

 

 

ですが、ときどき、

「勤めを辞めて農家でもやるか」

「年内に仕事を辞めるので、田舎で農業をしようと思う」

という人がやってきます。

 

勤めを辞めて農業でもやろうかなんて、

農業をナメタラいけない! です。

 


農家で雇ってもらえるとは思わないで!


 

こういう人たちの多くは、多くの場合、

何も調べないで、田舎に引っ越しすれば、

農家に雇ってもらえるんじゃないかと

思っているのです。

 

農家が雇用してくれると思い込んでいます。

 

 

答えは、ほとんどの場合、NOです。

 

大農家や農業生産法人で、

従業員やパートを

雇用していることはあります。

 

基本は地元の人が優先的に雇用されます。

 

毎年の作業がわかっている人という

基準値があります。

 

 

農家の側からしたら、

素人はごめんなさいです。

 

 

農業は遊びじゃないんです。

 

農業は仕事、事業なんです。

 

作物によっても、設備によっても、

地域や気候によっても、

栽培方法や管理の方法は、

千差万別です。

 

様々な機械や道具が使えないと、

仕事ができません。

 

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うまく動かないときには、

現場ですぐに、

メンテナンスする必要があります。

 

高額な農業機械を、

素人に壊されたら大変です。

 

 

鎌や鍬を使ったこともありません、

手入れの方法もわかりません、

けがをしない使い方も知りません・・・。

 

こんな素人に、

仕事を任せたい人がいるでしょうか。

 

 

農産物が育ち、出荷して売れるまで、

農家には収入が入ってこないんです。

 

 

栽培途中で、素人が管理に失敗したら、

売り物が全滅することだってあるんです。

 

作物のことも、品種特性も、栽培期間も、

栽培管理のイロハも何も知らない素人に、

仕事を教えながら手伝ってもらうのは、

大変な手間です。

 

毎年頼んでいる、気心の知れた、

作業に手慣れた、

地域の人に働いてもらう方が、安心です。

 

 

農業は面積を必要とする産業です。

 

広大な農地に作物を栽培しないと、

成り立たない産業なのです。

 

野菜なら1束、1本、1袋何十円の商品を、

サイズをそろえて袋詰めし、箱詰めして、

毎日たくさん出荷して、

収入につなげる事業です。

 

 

たまに、気象条件が悪い年に、

野菜が高騰すると、

御殿が建つといわれることもありますが、

安値のリスクは、毎年あるものなのです。

 


農業をする上での大きなリスクは自然災害


 

そして、最も大きなリスクが、

自然災害です。

 

 

2015年、台風18号の通過に伴い、

鬼怒川が決壊して、

大きな水害が起こった栃木県。

 

何日も水が引かなかったのを、

覚えていますか。

 

 

知人の大農家に電話を掛けました。

 

被害は甚大でした。

 

水の勢いは強く、稲は押し倒されました。

 

稲刈り直前の水田は、

深い水に沈みました。

 

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栃木県はもともとはお米の大生産地ですが、

2014年からお米の農協買取価格が、

全国でも最低レベルに下がりました。

 

お米の生産にかかる費用は、

上がり続けているのに、

1990年代初めに比べて、

お米の価格が1/3以下になったのです。

 

 

知人は、米価格の下落を予測して、

早くからお米の生産を、

野菜などの生産に切り替えていましたが、

水没してしまったのです。

 

収穫前のサツマイモは、

すべて水没しました。

 

サツマイモだけでも、

約1千万円の損失です。

 

大面積の稲やほかの穀物も野菜も、

どろ水の底に沈んだのです。

 

 

栃木県の農業被害だけでも19億円超。

 

台風18号による27の道と県の

農林漁業の被害総額は、484億円です。

 

国の対策支援金と共済金で、

被害の補償が、

満額出るわけではありません。

 

 

農家になったら晴耕雨読なんて、

そうそうできることではありません。

 

作業予定の日に、

雨だ、台風だという予報なら、

前倒しで、食事もとらずに、

仕事をぶっ続けですることもあるんです。

 

 

2016年の台風10号

 

東北と北海道が

大雨の被害にあいました。

 

北海道の友人のところは、

掘り出す前の

ニンジン、ジャガイモ、タマネギが

水没してほぼ全滅。

 

水気を嫌うインゲンなどの

豆類もほぼ全滅。

 

本州より農地規模が大きいだけに、

被害も甚大です。

 

 


人件費が出ない?それでも農業をやりますか


 

人件費が出ていない農家は多いくらいです。

 

人件費ゼロ、あるいは、

時給換算が数十円、

数百円でもやれますか。

 

 

農地を持っていない人が、

経営が成り立つような農業者になるには、

たくさんの資金が必要なことは、

もちろんです。

 

 

確かに、

農地を借りて農業をすることは可能です。

 

しかし、農地があるだけでは、

農業はできません。

 

農業機械も必要です。

 

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農業機械は、

田畑で使うものだけではないのです。

 

穀物なら、

収穫後の乾燥、選別、保管の設備etc

 

根菜なら栽培前に使う、

畝立てなどの機械のほか、

収穫用の機械、

収穫後の水洗いの機械、

選別の機械など

 

 

本当に驚くほどの種類の機械が、

作物ごとに必要になります。

 

 

業として成り立つ農業をするのに、

すべて手作業でやろうと思ったら、

相当綿密に計画を立て、作付し、管理して、

付加価値の高い作物を栽培し、

商品化しなければなりません。

 

 

一袋、ひとパック、

100~200円の農産物を売って、

それで一人当たり、

100万円、200万円稼げたら、

とてもすごいことなんです。

 

 

でも、その収入から、

翌年の種や苗の代金、

肥料の代金を支払わないと

いけないんですよ。

 

種も自家採取、肥料も

自家製なら別ですけど。

 

 

作物は生きものですから、

毎年、同じように

育つとは限りません。

 

商品として売れるような農産物を

育てられるまで、

人によっては、何年もかかるものです。

 

本当に農業に向いているかどうか、

作物を育ててみないことにはわかりません。

 

ずぼらな人には、

農業経営は向いていません。

 

作物をちゃんと育てあげられなければ、

収入を得るところまでいかないのですから。

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だから、勤めを辞めて

農業でもやるかなんて、

安易に考えないでくださいね。

 

新規就農を考えるなら、

計画的に順序を踏んで、

準備と資金作りを進めていきましょう。

 

うんと脅かしましたが、

準備をして、

経験を積み上げていけば、

農業は、

楽しくて、学びがたくさんあって

面白いですよ。

 

自分に必要な準備を

ひとつひとつこなして、

都会から田舎に移り住み、

農家になった人たちは、

好きな野菜や変わった作物の

栽培に挑戦したり、産直をしたりと、

とっても、自分らしい

仕事と生活をしています。

 

田舎暮らしの楽しさを知りたい方は、

こちらもお読みくださいね。

⇒ そもそも、農業って何? どんな事なの? 命をはぐくむのが日本の農業なんです

⇒ 断れない! いただきものが多いのも、田舎の特徴 いつもうれしい悲鳴を上げています

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この記事を書いた人

武原 夏子
武原 夏子
玉川大学農学部卒。元・日本不耕起栽培普及会理事・事務局長。不耕起移植栽培や田舎暮らしの技術や楽しみを教え、農産物の差別商品化や売上増加コンサルをしています。手作り、田舎の食や暮らしが大好き。伝統食大好き。農家のじいちゃんばあちゃん大好き。都会暮らしでは、命と精神が縮んでしまう。ずっと満員電車に乗らず、朝に出勤しない生活を望んできたら、そうなった。2017年まで田舎暮らしや農業、手作りを実践。ナチュラリストでも何でもないのに、化学物質過敏症、合成添加物過敏症、合成洗剤アレルギー、シックハウス症候群。さらには、憑依体質。自然や宇宙とのつながりについて、いつも考えています。