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深田 好香

深田 好香

15歳で自活し、無敵の10代、揺らいだ20代を経て、自由になった30代を過ごしながら想うことを心理学的視点を交えて綴ります。 過去も未来も現在も「こころ」次第で変えられる。“ハッピートランスフォーマー”

子どもの頃から、新品ピカピカのプラスチックの玩具より、色に深みを帯びた木工の玩具が好きだった。

最新の刺繍もできちゃうコンピュータミシンより、仕立屋だった祖父の工業用の足踏みミシンに憧れた。

それは現在も変わらず、私は深い色になったクタクタの革バッグや、艶やかに黒く光る鉄鍋、貫入に渋さをふくんだ器。そんな愛しいものたちに囲まれた生活を送っている。

 

京都で職人出の家庭に育ったからか、大切に使われ時を経て熟成し、その魅力を花開かせる工藝が、たまらなく好きだ。

でもこれって、その魅力が理解できないひとには、ただのくたびれたバッグと、古臭い鍋、ひび割れて黒ずんだ器でしかない。

 

つまり、劣化したということ。

ひとだって、同じだと思う。

 

巷では、アンチエイジングやエイジングケアなんて言葉が溢れ、あたかも「とある最高ポイントがあって、そのあとは劣化していく」というイメージを押しつけられてる。

私も女性に生まれたからには、いつまでも美しくありたいと思うのはもちろんだけれど、何を「美しい」と定義するかで、その在りようは180度変わる。

歳重ねるごとに経験を積み深まる智慧、たおやかになる精神。私はそんな諸先輩方を心から尊敬しているし、美しいと思う。そして、自分もそう“在る”と決めている。

 

ほうれい線が気になりだした頃、常に口角を上げて笑っていることに決めた。「いつも笑顔が素敵だね、幸せそうだね」と声をかけていただくようになった。

自信過剰でとんがっていた若い頃、ひとは敵か味方か、強いか弱いかだと思ってた。いまは、強さと弱さの両方を理解し、ひとのなかの温かさをゆっくり感じて、その優しさに感謝できる。

 

脳科学の研究者である黒川伊保子氏によると「脳は生まれてから死ぬまで、ゆっくりとした熟成を続ける」のだという。それならば、私の脳も少しは熟成が進んでいるということか。

 

脳の熟成と生きるステージをマッチさせていると、昨日より10年前より「いま」に自信を持って生きていける。経年変化を楽しめる。でもそれが添わないと、歳を重ねることは劣化でしかない。

 

自分に向き合いチューナーを合わせる。

それだけで、心に映る世界は変わる。

 

素敵に歳を重ねて輝いているひとはオーラがあって本当に魅力的だ。その輝きにひとは惹きつけられる。

がんばってがんばって、うっすら薄くなるシワと格闘し、数歳若くみえるより、遥かに有意義で幸せなことだと思いませんか?

だって、どんなにがんばっても勝てるわけないもん。

 

私のクタクタのバッグは、どう足掻いても新品のバッグには戻れないけれど、時をかけて日に焼けたり傷がつき、その度にオイルで整え育ててきた唯一無二の熟成されたバッグだ。

 

ひとは経験に失敗を重ねて、その度に学び、豊かな個性を発揮していく。

人生と工藝は似ている。

この記事を書いた人

深田 好香
深田 好香
15歳で自活し、無敵の10代、揺らいだ20代を経て、自由になった30代を過ごしながら想うことを心理学的視点を交えて綴ります。 過去も未来も現在も「こころ」次第で変えられる。“ハッピートランスフォーマー”